フィリピンといえば英語留学、はたまたスペイン植民地時代の影響ということで欧米の文化を色濃く感じます。ところがフィリピンダンスとなると、その種類は民族の数と同じくらいあるといわれるので、つまり100~200種類ほどあるというわけです。
日本でも各地域によっていろいろありますよね。フィリピンの場合、植民地時代の影響や宗教の違い、地域性などが反映しているので、かなり違った様子になっています。
フィリピン伝統舞踊 竹ダンスがやっぱり一番有名
フィリピンのダンスのトレードマークとして、竹ダンスがあげられますが、大きく分けて2種類あるのをご存じですか?
ムスリムの王子と王妃のシンキル
シンキル(Singkil)は、マラナオに伝わるDarangen というお話しの中で出てくる王女と王子のダンスです。最初は王女と王女のお付きのものが日傘をもって踊り、次に王子が登場して、王女に求愛をして踊ります。
マニラのあるルソン島の南、ミンダナオ島にラナオ湖はあり、その周辺マラナオの人々の踊りで、この地域はムスリムが非常に多い地域で、ここに出てくる2人もムスリムの王国時代を舞台にしています。ゆえに、衣装をはじめ、小道具もすべてムスリムのものとなっています。(参考出典:singkil)
踊りで使用される楽器は、インドネシアのガムランで使用されるような楽器が使用されています。
これらはマニラでは一般的ではありません。
アヒルの遊ぶ様子のティニクリン
同じ竹ダンスでも、シンキルとは雰囲気が違って、可愛らしい感じで、ダンサーも笑顔を振りまいておどるティニクリン(tiniklin)。こちらはティクリンと呼ばれる鳥の動きを真似して踊っています。
キリスト教の影響の強い地域で、農作業の合間などに始まったダンスともいわれています。こちらはシンキルと違って、合間でも手拍子をしたり、男性と女性の踊り手が手を取り合ったりとしてフォークダンス的な要素がずっと多い竹ダンスです。 (参考出典:tiniklin)
動画はどちらも同じダンスカンパニーのものをアップしていますが、その雰囲気が全く違うものであることがわかりますよね。
フィリピン伝統舞踊 可愛いアヒルのダンス イティックイティック
イティックイティック(itik-itik) は、cantilan surigao del sur のダンスです。アヒル(itik) の様子を真似して、女性たちが踊ります。教会で子どもの洗礼を授けたあとのパーティーで踊られていたとか。両腕の肘を曲げて、わきを開け閉めして動かし羽の様子をあらわします。 (出典:itik-itik)
昔、保育園のころの娘は、このダンスをわくわくのダンスと呼んでいました(笑)
フィリピン伝統舞踊 ろうそくを頭に載せて踊る パンダンゴサイラウ
パンダンゴサイラウ (pandanggo sa ilaw) はフィリピンのミンドロが発祥と言われ、pandanggo はスペイン語のfandangoに由来していると言われています。sa ilaw とは、タガログ語で光にとなります。
オイルランプ、あるいはグラスに入ったろうそくを頭の上、両手の甲に乗せて踊ります。
実はこれ踊ったことがありますが、頭の上のグラスの底に両面テープを貼って、ぐりぐりっと載せてました(笑)それでもうつむくと、落ちてきますからかなり用心して踊ります。
ユーチューブをいろいろ探しましたが、頭の上と両手の甲に載せて踊っているものは少なく、
私が教わったパターンはかなり高度なものだったんだと思った次第です(笑)あの当時はまだ動画が携帯で取れる時代でなかったことが悔やまれます(笑)
(参考出典:pandango sa ilaw /tagalog lang)
フィリピン伝統舞踊 ココナツの殻を鳴らす マグララティック
マグララティック(Maglalatik) はココナツの硬い殻を男性の身体前後につけて、手に持った殻で音を鳴らしながら踊るダンスです。マンララティックあるいはマグババオとも呼ばれています。
モロ族(ムスリム)とキリスト教徒の戦いをモチーフにしています。(参考出典:maglalatik)
これは見る側も手拍子を合わせて、非常に場の盛りあがるダンスです。
フィリピン伝統舞踊 スペイン植民地下影響のワルツ マグカスヨ
フィリピン統治下では独身男女の行動は非常に厳しく見張られていました。そんな時代に手をつないだり、目を合わせたりできるダンスは若者の恋のチャンスだったのではないかと思われます。
スペインのワルツに、フィリピンの当時の衣装をきて踊るダンスです。(参考出典:list of folk dance)
フィリピン伝統舞踊 ルソン島北部の山岳民族 イフガオ
イフガオ(Ifgao) はルソン島北部の山岳民族です。棚田で有名なコーディレリアあたりです。イフガオ独自の織物で作った衣装をまとい、悪霊を制し、地上の豊作を願い感謝をささげる踊りは植民地の影響を最も受けていないダンスとも言えます。(参考出典:ifgao / kaloob dance )
さいごに
フィリピンではそれぞれの島や地域に個別の言語、文化があり、ダンスもスペインの影響濃いものからムスリム、農業や自然に対する祈りや豊穣をねがうものなど多種多様なものがあります。
常に新しいものに対して柔軟に対応、また取り込んでいくことがとても上手なフィリピン。昔からある竹ダンスとポップミュージックを融合させることもお手の物です。
欲を言えばフィリピンの学校でもっともっと取り入れて、フィリピン人が古典舞踊やそれぞれの地域のダンスにもっと触れる時間や場所を作ってほしいと願っています。
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